チーズの栄養
10リットルのミルクから約1kg出来るチーズは、ミルクの栄養成分を凝縮した優良食品と言える。良質の脂肪、蛋白質、ミネラル(カルシウム、リンなど)やビタミン(A、B群)などを多く含んでいる。特に優れている点は、蛋白質がアミノ酸となり、消化吸収しやすいことだ。また豊富なカルシウムも、蛋白質(アミノ酸)と結合して吸収されやすくなっている。カロチン(ビタミンA)も多い。欠けているのは、ビタミンCと食物繊維ぐらいで、野菜や果物と一緒に食べれば栄養的にはほぼ完全である。育ち盛りの子供や骨粗懸症に悩む老人にはお薦めの栄養食品だ。
| 種類 | たんぱく質g | 脂質g | カルシウムmg | エネルギーkcal |
| フレッシュチーズ | 6.5~9.6 | 0~9.4 | 75~170 | 44~160 |
| 身の柔らかいチーズ(カマンベール、エポワス等) | 20~21 | 20~23 | 150~380 | 260~350 |
| セミハードタイプ(サン=ネクテール、トム等) | 24~27 | 24~29 | 657~865 | 326~384 |
| ハードタイプ(エメンタル、コンテ等) | 27~29 | 29~30 | 900~1000 | 390~400 |
| 青かびタイプ(ロックフォール等) | 20 | 27~32 | 722~870 | 414 |
| 鶏卵 | 12.7 | 11.2 | 65 | 156 |
ミルクについて
チーズのうまさは原料となるミルクの質が決め手となる。
どの数値も平均的に高いのが羊乳だ。濃いミルクからは強いチーズができる。強いチーズとは香り、コク、余韻などが豊かであることだ。上記のデータは、食べた時の羊チーズは強いという印象を裏づける。
また、熟成とはカビや微生物によって蛋白質がアミノ酸にまで分解されること、と言える。熟成期間の長いハードタイプの方がアミノ酸の量は多い。その原料のミルクが生乳を使うか殺菌乳かでチーズの風味が異ってくる。生乳とは、搾ったままのミルクのこと。
したがってミルク中の微生物(乳酸菌、酵母など)はそのまま生きている。
一方殺菌乳は加熱(低温殺菌乳の場合72度で15秒)するため、微生物は弱まるか、殺されて減る。チーズ生産における微生物は、熟成の推進者であるが故に違いが出て来る。生乳チーズは香りや味が複雑で個性がある。大量生産の殺菌乳チーズは、外見も味もやや単調だ。AOCチーズにも生乳使用を義務づけているものが多い。
| 1L・単位g | 牛乳 | 山羊乳 | 羊乳 | 水牛乳 | 人乳 |
| 脂肪 | 37~51 | 36 | 65~75 | 76 | 35 |
| たんぱく質 | 32~36 | 31 | 55~65 | 37 | 11 |
| 乳糖 | 45~55 | 40~50 | 43~50 | 57 | 79 |
| ミネラル | 7~9 | 7~9 | 9~10 | 8 | 2 |
| 水分 | 874-859 | 880 | 838~866 | 856 | 880 |
| 総重量 | 1032 | 1030 | 1038 | 1034 | 1032 |
買い方
①まず、いい店に行くこと。いい店とは、いい店主といい店員がいて、清潔でその場で切り分けてくれる(専門店なら当然だが)店だ。品数が多い店が、すなわち、いい店とはかぎらない。
②場数を踏む。目をきたえる。目で買って舌で味わう。近道はまずない。慣れることだ。そのうちに目と舌との関係がわかってくる。自分のチーズに関する物差しができれば楽しみは拡がる。
③必要量を買う。食べ頃を買うのがよいが、保存する場合は、どのくらい保つかを、「いい店」でたずねる。賞昧期限を明記してあるものは表示にしたがう。脱水のきいた硬いチーズ(コンテ、エメンタル、トム、パルミジャーノ・レッジャーノなど)は切り身の大きさにもよるが、比較的保存がきく。
よく熟した山羊チーズも保ちがいい。パック入りはすすめない。その場で切り分けた身より、殆ど例外なく味が落ちるからだ。
保存の仕方
①要はチーズを乾燥と窒息から守ること。理想の場所は涼しく暗い所、冷蔵庫など。できるだけ風味を損なわないように保存するために、タイプによって庫内の棚を変えたい。目安として、フレッシュは0~4度、加熱して圧したものは6~10度 、他は3~6度が望ましいが、野菜室に入れるのが良いだろう。
②チーズはラップ、アルミホイールや、軽いロウびきの紙(チーズ店で使用)に包み、さらに密閉容器に入れると良い。
チーズの製造場所
製造所:フェルミエ
生産状況:個人が、自分の所有する家畜(牛、山羊、羊)のミルクを搾り、その農場で伝統的方法によって作る。生乳使用
生産量:少量
主な販路:土地の市場とわずかなに都市のチーズ店
製造所:酪農場
生産状況:個人が、自分の所有する家畜(牛、山羊、羊)のミルクと、他人から購入したミルクで作る(製造所は個人のものだが、他人のミルクのみで作る場合もある)
生産量:少~中量
主な販路:土地の市場 近郊、都市のチーズ店
製造所:酪農共同組合
生産状況:組合員各人のミルケを持ちよって、共同作業場で作る
生産量:中~大量
主な販路:全国
製造所:酪農工場
生産状況:広範囲にわたるミルク生産者からミルクを購入し、工場で生産する
生産量:大量
主な販路:全国
「フェルミエ」を名乗るチーズについて、次のような規定がある。「農業生産者がその農場で、その飼育する家畜から搾ったミルクのみを使い、伝統的方法で作ったチーズ。その他のチーズには規定はない。地続きでも隣人のミルクを加えるとフェルミエではなくなる。「フェルミエ」は家族で作っている場合が多い。が、フェルミエ製が必ずしも「良質」や「おいしさ」の保証ではない。また、フェルミエ色濃い手作りの家内工業による酪農場も少なくない。生産場所、生産状況は上の表のようにまとめることができる。
AOCチーズについて
Appellation d'Origine Cont-role(略してAOC)は原産地名称管理(日本では原産地統制名称)、すなわちワインとオー=ド=ヴィ(ブランデー)、酪農製品、農産食品を対象として、その製品がその地方で正しく作られた高品質なものであることを保証する制度だ。
現在施行されているAOCに関する法制は既に1919年に原産地保護に関する法律の形で始まった。この法律によると「原産地とは、製品の産地を地方、地域、町村名で示すもので、また原産地とは自然要因、人的要因を包含する人文地理的環境であり、その製品の個性を指定するものである」としている。
さらに前史がある。1905年の「原料の偽造」を取締まる法律である。これは偽造を防ぎ、本物をいかに保護するかを目指すもので、ことから土地に密着した製品の正当性は、原産地によって証明されるという解答が出てきて、1919年の法制化へと発展したのだった。
その後時代に即して改定され補足され、現在は生産者と消費者と行政官の3者で構成する全国原産地名称協会(農林省管轄、略してINAO)がその運営管理に当っている。チーズについては、チーズの定義、原料のミルクの定義、生産地域、生産方法、熟成期間など細かい規定があり、違反者には3カ月-1年の懲役と300-2万フランの罰金が課せられる。
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