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1.西アジアか中近東に生まれ、イタリアで開花
普段なにげなく接している食の文化には、じつはロマンを誘うものがたくさんあります。中でも古い歴史をもつのがチーズ。その世界に足をふみ入れることは、まさに古代文明の未知の世界に飛び込むこと。奥の深さにははかりしれないものがあります。

それでは、チーズの発祥は果たしていつごろどこでだったのでしょうか。残念ながらこの答えは今現在も解明されていませんが、いろいろな文献や伝説や壁画などから、これまで、さまざまな推測がなされてきました。


600年も前から存在?
それによると、最も古い記録の1つは紀元前4000年ごろのエジプトの壁画にあると言われています。

またそれをさかのぼること2000年ほど前の遺跡からも、チーズ作りに使われたのではないかとみられる容器が発見されています。その発祥の地がペルシャ(イラン)だったのかトルコだったのか、あるいはメソポタミアだったのか。

その辺は定かではありませんが、おそらく西アジアか中近東のどこかでチーズ作りが始まったというのが、今では定説になりつつあります。また、遊牧生活をしていた中央アジアのモンゴル民族も、古くから羊や山羊や馬や牛のミルクでチーズ作りを行っていたと伝えられています。


2.古代ギリシャのホメロスの詩にも登場
それでは、今ではいかにもチーズの国として知られているイタリアやフランスなどヨーロッパへは、いつごろどのようなルートで伝わっていったのでしょうか。

中近東あるいは西アジアで誕生したと思われるチーズは、そこからエーゲ海で隔ててられた近隣の国、ギリシャへとまず伝わります。それを証明するのは、紀元前9世紀ごろに古代ギリシャに存在したと言われる吟遊詩人、ホメロスの英雄叙事詩です。あの有名な『イーリアス』や『オデュッセイア』で、チーズのことがうたわれているのです。

ただし牛乳製が中心的現在のチーズとは違い、山羊乳や羊乳製だったようです。ギリシャという国は石灰岩質の山岳地帯が多く、そういう土地柄でも生きていける山羊や羊のミルクが必然的にチーズの原料になったということは想像に難くありません。


エトルリア人の手でイタリアに
ギリシャに伝わったチーズは、この地で急速な技術的進歩を遂げてイタリアにわたります。介在するのは、紀元前10世紀ごろに小アジアから古代北イタリア(現在のトスカーナ地方)に移り住んだ、エトルリア人。

彼らはギリシャ文明の影響を強く受けていて、チーズを量産する技術もすでに身につけていたと言われていますが、トスカーナ北のロンパルディア地方を中心に、パルミジャーノ・レッジャーノやペコリーノ・ロマーノ、ゴルゴンゾーラ、フォンティナ、タレッジオといった、現在に伝わるチーズの名品の原型を作っていったのでした。


ローマ初代王の手になった伝説のチーズ
当時の様子を伝えるものとして、ローマの建国者と言われるロムルスに関する有名な伝説があります。

ローマの博物館で、お目にかかれる、乳を飲ませる狼の銅像にまつわる話です。双生児の1人ロムルスはティヴェリス川に捨てられ、漂着したところに狼が現れその乳を飲んで一命を取り留めます。その後、羊飼い夫婦に育てられますが、ロムルスが飼っていた羊の乳で作られたのが、現在最古のチーズと言われるペコリーノ・ロマーノの原型だったとか。紀元前8世紀ごろのお話です。

ただ、今の話もそうですがチーズの起源に関する年代はいずれも推測の域を出ないものが多く、世界三大ブルーチーズの1つであるゴルゴンゾーラの歴史にしても、紀元前という説もあれば紀元後というのもあって、定かではないのです。ですから三大ブルーチーズの1つであるフランスのロックフォールとの起源争いも、いまだに決着がついていません。


3.2000年の歴史の仏国ロックフォール
そのフランスはイタリアに次いで古い歴史を持つ、チーズの国です。同国を代表するロックフォールは2000年の歴史があると言われ、その原型となったチーズこそこの国のチーズの起原と言われています。

そしてロックフォールは歴史の古さだけではなく、チーズの王様と言われるほど品質的にも一級品。18世紀には冒険家で文人のカサノヴァによってほめ称えられ、いっそう人気を集めることになりました。

またフランスにおける修道院とチーズとの古い関係も見逃すことかできません。10世紀に生まれたマロワルをはじめ、マンステール、ポン・レヴェックなどのウォッシュタイプは、どれも修道院から生まれたもの。マンステールという言葉自体、修道院を表すモナステールからきています。

現在、フランス国民1人あたりの年間チーズ消費量は世界第2位、生産量もアメリカに次いで、第2位です。しかしこの国がチーズ王国と言われるのは、単に消費量や生産量の多さからだけではなく、個性豊かなチーズをいっぱい作っているからでもあります。アルプスに代表される山岳地帯もあれば、ノルマンディ地方のようにやわらかな草を育てる温暖多湿な地域もある。多彩な気候と風土がバラエティーに富むチーズを作り出しているのです。


今世紀にプロセスチーズの本格的製造
ほかにも目を移してみますと、スイスではエメンタールが13世紀後半くらいから作られ始め、16世紀ごろにはイギリスのチェダーが人気を集めたと言われます。また今世紀に入ってからは、ナチュラルチーズを加工したプロセスチーズの本格的な製造が始まりました。





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